トラックに「プロ」免許
(2007年12月12日)

経営環境の悪化を背景に質の高い人材の確保が難しくなっているトラック運送業界の現状を踏まえ、国土交通省の検討委員会はトラック運転手に資格 制度などを導入する方向で検討に入った。事業用トラック運転手の専門免許創設を含め、公的な認定、表彰制度など 複数の制度の実現可能性や実効性を議論。2008年2月に中間とりまとめを行い、来年度以降の議論の方向を固める。

ランク付け制度 提示 トラックドライバーを安定的に確保するための方策に関する検討委員会(斎藤実行委員長)がこのほど開いた 会合で資格制度提案を示した。資格制度では道路交通法に、現行の第一種(マイカーなど一般向け)、 第二種(バス・タクシーなどの旅客運送用)と異なる新たな種別の免許「第三種」(仮称)を創設する案のほか、運転手が任意で受講するランク付け制度を提示。 一方で一定の基準を満たす運転手が対象の公的な有料ドライバー認定制度も併記した。

制度案は三種免許について現行の二種と同様、一種取得後に一定の期間を得た運転手が対象とした。社会的に「プロ」ドライバーとの認知が得やすくなる反面、新規就労者の減少や既存運転手の負担増などを課題として挙げた。 ランク付けは日本自動車連盟(JAF)のA級ライセンスのように運転手が任意取得するイメージとした。

一方の認定制度は、所定の基準をみたす運送会社に所属する運転手で、基準に適合する者を 優良認定する仕組みを想定している。審査は全日本トラック協会などの業界団体が担い、認定書を発行するなどとした。

検討委では各方策の選定基準や審査方法、利点や課題などについて議論。三種免許創設について委員からは「将来的な資質確保 には有効だが、当面の人材不足は解消できない」、認定制度には「業界団体ではなく国交省による認定が望ましい」などの 意見が出た。

トラック運送業は土木建築や調理などと比べてキャリアアップ(職責の向上)の道筋が 見えにくく、運転手の働く意欲や業界の魅力を高め、新卒者や経験者を安定的に採用しやすくするために資格制度が必要、とした。荷主企業に対してもアピールしやすいため適正運賃の収受に繋がる、と検討委は見ている。

(2007年12月12日(水) 日経MJより)

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