遠い「大型免許」-人材難さらに加速か
(2007年12月25日)

免許制度変更で取得困難に

6月2日から運転免許制度が大きく変わり、免許区分が従来の普通、大型の2区分から、普通、中型、大型の3区分となった。制度の改正から4ヶ月以上が経過した現在、大型免許の取得は予想された通り、かなり難しくなっているという。

運転免許試験会場での一発試験や教習所卒業による大型免許取得も、まだ少ないのが現状で、今後の大型運転者不足を懸念する声も出始めている。

「どうやら年内の大型免許の取得はあきらめるしかないようだ」。大阪府の運送会社社長がつぶやいた。同社は顧客ニーズに合わせて 大型車導入を検討し、従業員に大型免許を取得させようとしていたが、試験場での一発試験はかなり難しく、教習所も予約が 詰まっている状態で、年内の取得を断念した。

大阪府警に問合せると12月2日現在で「試験場での一発試験合格者はゼロ」とのこと。 全国的にみても合格者はほとんどいないという。 その理由は、車両の大型化や路上試験導入が影響しているという。 現在、試験場や教習所で使用される大型車は、車の長さが11~12メートルある。 改正前の大型車は、最大蓄積量は5.5トン、車の長さは7メートル程度で、大きさは4トン車と変わらない。

大阪府警によると、これまで110人が構内試験に受講したが、10人しか合格していないという。 「早い人で6回。10回受験しても合格していない人もいる」とのこと。 構内試験に合格して大型仮免許を交付してもらい、次に路上練習が必要となる。 これには大型トラックに、大型免許取得3年以上の経験者に同乗してもらい、1日2時間以上の練習を5日以上行う必要があるためだ。大型車の確保などで、つまずいてしまう受験者も少なくない。 路上練習を終えて路上試験に進めるが、採点基準が厳しいためか、合格するのは非常に難しい。 費用もかかる。大型仮免許の試験手数料は車の使用料を含め4,750円。免許交付手数料は1,650円。 交付される前に大型免許取得時講習(18,800円)と応急救護処置講習(3,600円)を受講しなければ ならず、受け続ければ費用もかさんでくる。

現在大型教習を実施する教習所は少ないのが実情。 大阪府下でも五つの教習所しか大型教習を扱っておらず、入所までは1ヶ月以上は待たなければならない。 入所できたとしても、大型教習車の数が少なく、簡単に予約が取れない。 ある自動車教習所では、「普通免許から大型免許を取得するには19時間の技能講習が必要。しかし、予約が多く、 休日だけといった教習では卒業に半年以上かかってしまい、教習期限である九ヶ月を越えてしまう恐れがある」と話しており、 簡単には卒業できない様子。ちなみに教習費用は300,000円前後。 ある運送事業関係者は「運転者の確保が大変な時代。近い将来、大型車の運転者のなり手が減っていくことは間違いない」と話している。

(情報提供元:株式会社物流産業新聞社)

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