道交法改正が4トン車両に与える影響
(2008年4月7日)
2007年6月に行われた道路交通法改正は、宅配便の集配やコンビニの配送、自動販売機への飲料品補充など、旧普通一種免許で運転できる4t前後の車両を中心に事業展開してきた企業に大きな波紋を呼んでいる。
道交法の改正により、旧普通一種免許(現中型8t限定)所持者は4トン車を引き続き運転できるが、 新普通一種免許では運転できないのである。
特に影響を受けるのは、毎年18歳の新卒者を採用し、 ドライバーを計画的に育成してきた企業である。
旧法の普通一種免許では最大積載量5t未満・車両総重量8t未満まで運転可能であったのに対し、
新法では最大積載量3t未満・車両総重量5t未満までとなり、新設された中型一種免許では最大積載量6.5t未満・車両総重量11t未満までとなっている。(表1参照)
2つの問題点
問題点は2つ。
①平成20年以降の18歳新卒者は最大積載量3t未満までしか運転できない。
②4t車を運転するには新中型免許が必要であるが、20歳までは取得できない。
いずれにしても車両導入に莫大なコストがかかることは間違いない。
表1:自動車免許の新旧対象表
免許区分 | 最大積載量 | 車両総重量 | 乗車定員数 | 受験年令 |
---|---|---|---|---|
旧普通一種免許 (現中型8t限定) |
5t未満 | 8t未満 | 10人以下 | 18歳以上 |
旧大型一種免許 | 5t以上 | 8t以上 | 11人以上 | 20歳以上 |
新普通一種免許 | 3t未満 | 5t未満 | 10人以下 | 18歳以上 |
新中型一種免許 | 6.5t未満 | 11t未満 | 29人以下 | 20歳以上 |
新大型一種免許 | 6.5t以上 | 11t以上 | 30人以上 | 21歳以上 |
※平成19年6月1日以前に取得した免許を"旧"、6月2日以降に取得した免許を"新"で表しています。
マイクロバス
これに対し、マイクロバスを利用して無料送迎を行っている業界(割烹、旅館、保育園、介護施設、部活動の送迎など)には大きなメリットがあったという。
道交法改正以前はマイクロバスで無料送迎を行うには大型自動車免許が必要であったが、改正後は中型自動車免許を取得すれば29人乗りまで乗車可能である。(表1参照)
マイクロバスの運転資格を取得するのに指定自動車教習所を利用した場合の教習時限数を比較してみると、道交法改正以前は最短22時限必要であったものが、改正後は最短15時限となり、7時限も削減されている。(表2参照)
注目すべき点は、道交法改正以前の普通自動車免許所持者は、改正後は自動的に中型免許8t限定となっていることである。
改正前に普通自動車免許(現中型8t限定)を所持している者は、指定自動車教習所で最短5時限の教習を受講し、限定解除審査に合格することでマイクロバスの運転資格を得ることになる。
※マイクロバスを旅客輸送の為に運転する場合には中型二種免許が必要。
表2:教習時限の新旧対照表
取得免許区分 | 所持免許 | 最短教習時限数 | 最短日数 | 教習料金目安 |
---|---|---|---|---|
旧大型一種免許 | 旧普通一種免許 | 22時限 | 10日~ | 約25万円 |
新中型一種免許 | 新普通一種免許 | 15時限 | 8日~ | 約20万円 |
新中型一種免許 | 旧普通一種免許 (現中型8t限定) |
5時限 | 4日~ | 約10万円 |
いずれにしても、道交法改正で実施された"免許区分変更"に対応するためには、 車両の入れ替えや中型免許取得などの対応に迫られるのは間違いない。特に、4t前後の車両やマイクロバスを使用している企業については、全車両の諸元表やドライバーの 運転資格を再確認する必要がありそうだ。
(情報提供元:株式会社物流産業新聞社)